Solana ERPC、Rust 製高性能ネットワークシステム実装実験で3倍超の性能を達成

Solana ERPC、Rust 製高性能ネットワークシステム実装実験で3倍超の性能を達成

Solana ERPC、Rust 製高性能ネットワークシステム実装実験で3倍超の性能を達成

ELSOUL LABO B.V.(本社: オランダ・アムステルダム、代表取締役 CEO: 川崎文武)と、Solana ネットワークの分散化・セキュリティ強化を推進する Validators DAO は、Solana Enhanced RPC(以下「ERPC」)のプロキシを従来の Nginx ベースから Rust 製の高性能ネットワークシステムフレームワーク「Pingora」ベースに換装する実験を行い、ピーク時に 3 倍を超える性能改善を確認したことを発表しました。今後は本番環境での導入を順次進め、さらなる速度と安定性を提供してまいります。

DeFi トレードや NFT ミントなど、アクセスが集中するタイミングでこそトランザクションを迅速に処理できることが重要です。高負荷時でも安定した接続を維持し、ユーザーが機会を逃さずに取引を成立させられるよう、今回の実装実験ではピーク時のスループット向上と低レイテンシ化に特に注力しました。

Pingora ベースの新プロキシで 3 倍超の性能を実現

ERPC は、世界中に配置された 300 以上のエッジサーバーを活用するグローバルプロキシを提供することで、ユーザーがアクセスするたびに最短距離のサーバーを自動で選択し、常に低遅延で安定した接続を実現しています。今回の実装実験では、Nginx ベースのプロキシを Rust 製高性能ネットワークシステムフレームワーク「Pingora」に置き換えたところ、特にアクセスが集中するピーク時に従来比で 3 倍を超える性能向上が確認されました。

RPC 接続では大量のリクエストを処理する必要があるため、プロキシの性能改善はユーザー体験に直結します。今回の結果から、アクセスの増加やノードへの負荷が高まる状況下でも、Pingora を活用することで安定した低レイテンシを提供できることがわかりました。この成果により、高負荷下でのトランザクション成功率もさらに向上し、ユーザーが大きなチャンスを逃すリスクを抑えられます。

今回行ったストレス耐性試験について

アクセスのストレス耐性を調べるために、ベジータ(vegeta)というオープンソースのテストツールを用いて負荷を与え、Nginx ベースと Pingora ベースの比較実験を行いました。

ベジータ (GitHub): https://github.com/tsenart/vegeta

10秒負荷比較

Nginx ベース

Nginx

Pingora ベース

Pingora

60秒負荷比較

Nginx ベース

Nginx

Pingora ベース

Pingora

これらの結果を比較すると、Pingora の方は安定して多くのアクセスを低レイテンシで返却できていることがわかり、50%の通信でレイテンシが約 1/2、90%の通信では約 1/7 という大幅な短縮を実現しています。さらに、この傾向は大きな負荷が続くほど顕著になり、高負荷時においても低遅延を維持できる点が大きな特長です。

ノーダウンタイムの切り替えと安定性

Pingora は HTTP/1 と HTTP/2 の両方にネイティブ対応しており、Graceful Reload(ノーダウンタイムリロード)を実現します。従来の Nginx ベースのプロキシでは、リスタートごとに接続のリセットが避けられませんでしたが、Pingora によってユーザーへの影響を極限まで削減し、サービス継続性を高い水準で維持できます。

さらに、アップデートやサーバーダウンが発生した場合でも瞬時にフェイルオーバーし、接続を維持するため、ユーザーは安定した Solana RPC 体験を享受できます。

今後のアップデートと本番環境導入

現在、この新しいプロキシを本番環境へ段階的に導入を進めており、今月中にはアップデートを完了する予定です。これにより、さらなる低レイテンシと高い処理性能を追求し、Solana ネットワーク上のトランザクションをより快適に利用できるようになります。作業が完了次第、改めてアナウンスを予定しています。

最新情報は随時、ERPC 公式ウェブサイトおよび Validators DAO の公式 Discord などで公開してまいります。ぜひご確認ください。

ERPC(Solana Enhanced RPC)とは

ERPC

ERPC は、Solana ネットワークにおける最速のトランザクション処理をいつでも、どこからでも可能にする RPC サービスです。

世界中に配置された 300 以上のエッジサーバーを活用したグローバルプロキシにより、ユーザーがアクセスするたびに最短距離のサーバーが自動で選ばれ、低遅延で安定した接続を実現します。どの地域からでも迅速なアクセスが保証され、高負荷時にもパフォーマンスの最大化を図ることが可能です。

特長

  • グローバルプロキシ: 世界 300 以上のエッジサーバーが最短経路を自動選択
  • 低遅延・高スループット: ピーク時の混雑を想定した設計で常に高速
  • フェイルオーバーと高可用性: 障害時にも接続を維持する仕組みが充実

ERPC 公式ウェブサイト: https://erpc.global/ja

Pingora とは

Pingora は、Cloudflare 社が開発する Rust 製の高速・信頼性の高いプログラマブルなネットワークシステムを構築するためのオープンソースフレームワークです。

4,000万リクエスト/秒といった膨大なインターネットリクエストをリアルタイムでさばいてきた実績があり、以下のような特長を備えています。

  • Async Rust による高速性と信頼性
  • HTTP/1・HTTP/2 にネイティブ対応
  • TLS (OpenSSL・BoringSSL・rustls(Experimental))
  • gRPC や WebSocket のプロキシにも対応
  • Graceful Reload(ノーダウンタイムリロード)
  • カスタマイズ可能なロードバランシングとフェイルオーバー
  • 充実したオブザーバビリティツールのサポート

Pingora (GitHub): https://github.com/cloudflare/pingora

Validators DAO 公式 Discord で最新情報をチェック

本リリースの詳細や、アップデートの進捗、今後のロードマップについては、Validators DAO 公式 Discord にて随時公開中です。ERPC に関するご質問やご意見などもお待ちしています。ぜひコミュニティにご参加ください。

Validators DAO 公式 Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR

今後とも、Solana エコシステムのさらなる発展に向け、ERPC やその他の技術開発・運用において引き続き取り組んでまいります。